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仕入屋錠前屋72 エデンの架け橋 3

 哲が勝手に骨董品店に抱いているイメージといえば乱雑、という感じだが、目の前の店内は小ぎれいだった。ガラスのドアには準備中の札がかかっていたが、鍵がかかっていなかったので押し開ける。埃っぽさも黴臭さも感じない。今時の […]

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仕入屋錠前屋72 エデンの架け橋 2

「……これから仕事なんだけどよ」 「ああ、知ってる」 「……」  連絡すると言ったくせに、仕入屋はしれっとした顔でいきなり現れた。  しかも哲の部屋の玄関先に、大和を連れて、だ。 「お前な」  低い声で唸るように言う […]

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仕入屋錠前屋72 エデンの架け橋 1

 枕に突っ伏していた顔に、振動が伝わってきた。振動は低く微かではあるが、途切れることなく続いている。  バイトを終え、いつもの定食屋で秋野と飯を食い、知り合いのバーに移動して飲み、強制的にお持ち帰りされて殴る蹴るの激 […]

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仕入屋錠前屋71 一線を越えたい 5

 疲れているのだったら泊まっていけと言われたが、哲と一緒に尾山家を出た。何も哲と一緒にいたかったわけではなくて、明日の朝やら何やらのことを考えたら面倒になったからだ。  エリは折角だから泊まるといってでかいバッグを掲 […]

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仕入屋錠前屋71 一線を越えたい 4

 面白い子だなあ、と思いながら、尾山は改めて佐崎哲という人物に目をやった。今はキッチンで洗い物をしていて、隣で耀司がそれを拭いている。  結婚式で顔を見てはいたが、こうしてじっくり眺める暇はなかった。  笑顔も冗談も […]

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仕入屋錠前屋71 一線を越えたい 3

 ケーキも食い、散々大人に愛嬌を振り撒いてすっかりへばった利香は、普段の就寝時間になった途端あっという間にむにゃむにゃし始め、歯を磨きに行った。子供らしいピンクのパジャマに着替えた利香が全員におやすみを言って回る。そ […]

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仕入屋錠前屋71 一線を越えたい 2

 誕生日プレゼント不要、アルコール持込歓迎、喫煙は換気扇周辺で可。バースデーソング斉唱なし。  とりあえず、耀司からの連絡事項はそれだけだった。  年齢一桁女児の誕生会にしてはあまりに素っ気ないが、そもそも明日が本当 […]

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仕入屋錠前屋71 一線を越えたい 1

 どうしても起き上がれない。  誰だって、一年に何度かはそんな日がある。  疲れすぎると眠れないのは誰でも同じだと思うが、それが度を超すとさすがに倒れる。  実際にばったり倒れたわけではないが、数時間前に帰宅した秋野 […]

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仕入屋錠前屋70 天の岩戸 2

「やだちょっとなあにここ!」  弁当を受け取りにきたエリは紅葉の保護色みたいな真っ赤なワンピースに筋肉質の身体を包んで現れた。足元は銀杏みたいな黄色いハイヒール。毎度思うが、あのサイズのピンヒールが商品として流通して […]

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仕入屋錠前屋70 天の岩戸 1

「なあ、台所貸してくんねえ?」  朝っぱらから電話が鳴って起こされた。 「……今からか」  時計を見ながら訊いた声はしわがれていて不機嫌で、我ながら明らかに寝起きの声だった。哲は秋野の安眠を邪魔できたせいか機嫌がいい […]