就寝なお題 06-10
06 おやすみなさい 馬鹿なことを言った、と思う。古河の決して大きくない目がいっぱいに見開かれているのは案外と面白かったが、だからといって何の慰めにもなりはしない。 高木は、昨晩のことを思い出して溜息を吐いた。 […]
就寝なお題 01-05
01 睡眠不足 「で、どうだったよ」 電話の向こうから、人のざわめきが聞こえてくる。恐らく、試験会場を出てすぐかけてきたのだろう。どこか気の抜けた声は、とりあえず終わったという安堵のせいに違いない。 「んー、分かん […]
お前で10のお題 06-10
06 お前も一緒に ドアを開けた古河はジャージによれたTシャツ、寝癖のついた髪というだらしない格好だった。銜え煙草で、欠伸を堪えたようなおかしな顔をしていた。 「泊まったのか」 掠れた声はいつもだから、寝起きなの […]
お前で10のお題 01-05
01 お前は知らない 「マジで?」 「マジで」 「げ」 たった一文字だが、その一文字にはそいつの心境が端的に表現されていた。銜えた煙草の煙の向こう、ぼんやり霞む男の顔が酷く遠くなったような錯覚とともに、高木は目を瞬 […]
電車で10のお題 06-10
06 各駅停車 気づけば高木は各駅停車の鈍行に乗っていた。間違った、と舌打ちしてももう遅い。行先は結局一緒だが、時間が余計にかかる。 溜息を吐いてシートに凭れ、もう一度、さっきより長い溜息を吐き出した。 終電の […]
電車で10のお題 01-05
01 いつも同じ車両 ついこの間から、いつも同じ電車の、同じ車両で会うのは何故か。 家が近いから。 会社が近いから。 質問から予測されるこの二つの答えは、実は二つとも「惜しい!」である。 正解は、同じアパー […]