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2006年 クリスマス仕入屋錠前屋

 甘いものは好きじゃない。  今目の前に、生クリームが蛇のようにとぐろを巻いたパフェがあるとする。それを食わなければ向こう一ヶ月食うものがないとしたら、そりゃもう喜んで食わせて頂く。ただ、自分から進んで甘いものを口に […]

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一歩近づけば世界が揺れる

「ああ、くそ」  非常に短く、且つ的確に、哲は自分の気持ちを表現した。  我ながら自分の文学的才能に惚れ惚れする、と自虐的な冗談を胸のうちだけで呟いて、寝転がったまま手を伸ばしてベッドの下の布の塊を一纏めに拾い上げる […]

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キリリク60,000

こんなものを愛とは呼ばない リクエスト:秋野と哲のいちゃいちゃ    首筋から僧帽筋にかけて、まるで鉄板が入っているようだ。  秋野は低く呻き声を上げ、自分の頭を強く掴んだ。  頭痛持ちというわけではないが […]

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エロセリフ7題で仕入屋錠前屋

01.来いよ 「——わかったよ、うるせえ奴だな。来いよ」  露骨に嫌な顔をしながら、哲はそれでもそう言った。  人気のまるでない寂れた地区の貸し倉庫は、僅かに黴臭い。運び込まれた幾つかの金庫を開けた錠前屋は、普段より […]

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2006年 ホワイトデー仕入屋錠前屋

それはもう久し振りに店に来たミキが、 「ササキくーん、ミキにお返しは?」  などと言い出したから、一体何をして頂いたのか、結構前のベッドの中でのあれやこれやかと真剣に考え込んでしまったのは、別に俺の悪い頭のせいじゃな […]

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10,000打御礼 06-10

06.その男  酔った勢い、というのは、結構恐ろしいものだ。  酔い方には色々あって、哲の場合、普段は殆ど変わらない。多分人より強いのだろう。顔色も変わらないし、普通に飲む分にはあまり気分も高揚しない。  度を超える […]

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10,000打御礼 01-05

01.オーヴァードーズ  いつになく、ひどくしつこいセックスに、哲は息も絶え絶えだった。今日は特別に不機嫌な仕入屋は、殴っても蹴っても噛み付いてもまるで意に介さない。切れた唇に赤い血の塊をこびりつかせたそのままに、粘 […]

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2006年 バレンタインデー仕入屋錠前屋

「さあ、では、皆さんにお聞きします! バレンタインの定番は?」   「……チョコレートだろう」 「他になんかあんのかよ」 「プレゼント?」 「ああ、ネクタイとか、何とか」 「あたしをプレゼントするわ、なんつ […]

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暴力ノススメ

 哲は機嫌が悪かった。自分でも分かっているが、どうにもならないのだから仕方ない。  秋野に向ける刺々しい視線は決して正当なものとは言えないが、どのみちそれを気にするような繊細な奴じゃない。寧ろ喜んでいる節さえあるから […]

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日曜の夜

「くそっ……いい加減に……っ!」  哲の嗄れた声にも、秋野は反応しなかった。いい加減悪態にも慣れているようだし、何よりこいつには容赦というものがない。普段、他人に対するあの穏やかさはすべてが嘘なのかと思いたくなるほど […]