07 バレンタインデー
「何やってんだ」 「──起きたのか。仕分けしてる」 錠前屋はベッドに寝転がったまま身体を起こして頬杖を突き、半分寝惚けたような顔で秋野を見た。 「何の」 「食えるものと食えないもの」 「意味が分かんねえ」 「バレン […]
05 クリスマスプレゼント
「それで、飾りつけは済んだの? 済んだわよね?」 「飾りつけ……?」 銜え煙草のまま首を傾げたら、煙草の穂先が崩れて灰が散った。 たまたま近くに来たから顔を見に寄ってみた、とバイト先の裏口に現れたエリは緑のスカー […]
03 深夜の帰宅 – 錠前屋
外階段を昇る足音で目が覚めた。 スニーカーのゴム底は大して大きい音を立てるわけではないが、それでも、普段の錠前屋の足音よりは大分喧しい。それに、多分若干ふらついてもいる。 鍵を開ける音からしても、酔っ払っている […]
02 ダイニングテーブル
出かけようと思ったら、背後から声を掛けられた。 「お前、今日ここで飯食う?」 哲は意外に早起きだが、今日は秋野が目覚めたときにはまだ不機嫌面で熟睡していた。昼近いこの時間になってようやく起き出してきたところを見る […]