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仕入屋錠前屋32 それはまるで恋のように 2

 かつてプリペイド式の携帯電話は犯罪者にとって素晴らしく便利な代物だった。とにかく身元確認が必要ない、口座引き落としされるわけでもない。これはなんと親切なアイテムだろうと大層重宝がられたものだが、その便利さもとうに終 […]

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仕入屋錠前屋32 それはまるで恋のように 1

「秋野ー、今何してんの」  耳元から、緊張感のない耀司の声が聞こえてくる。バックの音は相変わらずオカマと女の奇声、派手な音楽、そこにたまに男の笑い声も混じる。 「飯食おうとしてる」 「あれえ、哲。店あがったの? お疲 […]

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仕入屋錠前屋31 呼吸の合間 2

 秋野は自然、渋い顔でコーヒーを啜った。 「なんていうのかなあ、乱暴なひとが好きなわけじゃないんだけど」  ミツルは熱に浮かされたように喋っている。しかしよりによって哲はないだろう、と秋野は胸の中で重い溜息を吐いた。 […]

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仕入屋錠前屋31 呼吸の合間 1

「……っじゃねえぞ、おらぁあ!!!」  聞き覚えのある物凄い怒声が聞こえて来たと思ったら、横道から人間が転がり出てきた。何かが転がる音、積み上げてあったらしい物が崩れ落ちる音、転がっている人間が発している甲高い悲鳴。 […]